必要に迫られ写真の整理に乗り出しました。
とりあえず1700枚現像するものを選定しました。まだ沢山あります。
さて、前回記事
ephemeral の続きです。
休暇中に訪れた、常滑にある登窯の話。
登り窯とは焼き物製作工程「焼成」で使う窯の様式のひとつで、
中でもこの登り窯は最初の焼成に石炭を使い、
上の各部屋の焼成には薪を使うという折衷式登り窯というもの。
約90年という長い年月使用されていた窯で、
焼成室が八つあり、窯の全長は約22m、
幅は7.45mから9.66m、第一室の焚き口は6個、
一番登りきった所に10本の連なる煙突を持っています。
レンガと土でつくられた登り窯と、10本の連なる煙突は、
先人の生活と活動の跡、まさに遺跡の風合いな訳ですが、
それを覆ういい加減な木構造に架かるトタン屋根が、
動かなくなったガメラの様な雰囲気を醸し出していました。
通常、登り窯の屋根は窯の勾配と同じに設けられるらしく、
屋根は不思議に反り上がって見え、長い年月を 大勢のヒトが手を加え使いながら
直すことを繰り返したためか、木構造は何処も 明らかに斜め。
この何処にも直角が存在しない建造物は、とても土着的でヒトと共に生きた建築です。
人工物でありながら半自然の様な存在。
そして、このガメラ建築は魅力は、激しい起伏の細いうねるような道と、
黒い板壁の民家と工場、表層の朽ちた煙突で構成された、
焼き物と共に生きた風土の中にあってこそ発揮されています。
はっきり言って、現在の都市計画として消防上危うく、
殆どが建築基準法の接道義務からも建て替えの難しい土地だと思われます。
そのことも手伝ってか民家と工場は、登り窯の屋根と同様に 修繕を繰り返して使われていました。